Gravity ゼロ・グラビティ
★★★★★
監督:アルフォンソ・キュアロン 撮影:エマニュエル・ルベツキ
出演:サンドラ・ブロック、ジョージ・クルーニー、エド・ハリス
12月13日にIMAX3Dで、12月17日にTOHOシネマズ船橋のドルビーアトモス&TCXで鑑賞。
IMAX3D
二台の映写機による投影により、3Dメガネ越しでもさほど暗くならない状態で鑑賞できる。スクリーンも目の前にある様に感じるので臨場感が数倍に感じられる。注意点として、今作は2.35:1(シネスコ)のアスペクト比なので、スクリーン上部に黒帯が出る様になっている。鑑賞料金も2200円とやや高めの値段設定。見終わってしまえば、2200円でも安いと感じることだろう。
音の迫力もお墨付き。独自のサラウンドシステムで最高級の映画体験が可能。今作の場合「音」が重要なので、サラウンドシステムが上質な劇場で見ることがこの作品を十二分に味わうための一歩である。
私自身は行ったことはないのだが、IMAXのために箱を増やし、地域最大級のスクリーンサイズでもある成田HUMAXシネマズをおすすめしたい。
TCX
TOHO CINEMAS EXTRA LARGE SCREEN
その名の通り、TOHOシネマズ独自規格のスクリーンである。2013年12月20日の次点で、TOHOシネマズ船橋、市原の2劇場にのみ導入されており、2014年3月20日にオープンするTOHOシネマズ日本橋にも導入される予定だ。
「Wall-to-Wall」と、左右の壁から壁まで広がった大型スクリーン。IMAXとの違いは、上下の天井から床まではないということだ。スクリーンサイズはビスタ基準になっているので、こちらでも今作の場合は上下に黒帯が出る。スクリーンに何か仕組みがされているのか、画面下部がややカーブした状態で投影されていた。
申し訳ないが、所詮はIMAXスクリーンのまね事。似たようなことをやっているシネマックスのADMIXに比べれば映像も綺麗ではあるが。
ドルビーアトモス
TOHOシネマズ船橋が日本初でドルビーアトモスを導入。2013年12月20日の次点で、TOHOシネマズ船橋、イオンシネマ幕張の2劇場にのみ導入されいる。TOHOシネマズ日本橋にはドルビーアトモスも導入される。
64個の独立したスピーカーから出る音には感動はするものの、やや繊細すぎるかなと。箱自体の天井が高く、他の劇場に比べて左右のスピーカーもやや上部に取り付けられているため、音が上から下に流れてくる様な気になる。そして、アトモス最大の売りのオーバーヘッドスピーカーは『ゼロ・グラビティ』との相性の良さはそこまで感じられず。スクリーンスピーカー増設はロングショットとの相性抜群。
IMAXのサラウンドシステムとの大きな違いは重低音ではないかと。IMAXの場合は、これでもかと鳴らす重低音。アトモスの場合は、人が快適に聞ける限界点で止めている印象。どちらが良いとは断言しづらい。もはや好みの問題である。
上映時間は91分
『ゼロ・グラビティ』の最大の魅力は91分という上映時間にあると考える。エマニュエル・ルベツキの見事な長回し、サンドラ・ブロックの孤独な演技、ジョージ・クルーニーのジョージ・クルーニーぶりなど見所は多数あるものの、なによりも上映時間が91分というのが最大の魅力ではないかと私は考える。
これが100分だったら多少の億劫さが生まれ、また120分を超えていたらで「レンタルでいいや」の感情が生まれてしまうかもしれない。これが91分という短尺であれば、普段は映画館で見ない人にも足を運んでもらえるキッカケになるかもしれない。映画館で見ることの素晴らしさを認識してもらえるいい機会にもなる。なぜなら3D上映で見ることが一番の魅力なのだから。メタファーは無視するとして、話がシンプルだというのも良い。
2013年を代表する一本
わざわざ書くことでもないが、『ゼロ・グラビティ』は紛れもない傑作だ。一方で揶揄する者も出てくるのも必然。こればかりは話題作が通る道である。
『Gravity(原題)』とタイトルが出るオープニングでの音の上がりからの無音。開始30秒ほどで体が震えた。冒頭のロングショット、そしてそこから始まる約13分の長回し。自分がその場にいるかの様な錯覚に陥り、気づけば涙を流し始めている。完全に無音になるシーンでは、見ているこちらも息を止めてしまうほど。
本編中に二度タイトルが出る。二度目のタイトルの出方が重要なのである。それは『ダークナイト』、『ダークナイト・ライジング』で味わうそれに近く、また20世紀フォックス配給の『アバター』にも近い。
『ゼロ・グラビティ』
その一歩は力強く、そして美しい。
— きゃりー山田 (@k1muAtoZ) 2013, 12月 13
これから鑑賞予定の方へ
『ゼロ・グラビティ』は初見IMAX3Dで。国内のIMAXデジタルシアターの環境は限られているが、いつもより多い交通費を支払い、小旅行のつもりで見に行くのも悪くない。誇張表現にはなるが、たかだか数千円で宇宙へ行けると考えれば安いものだ。
予習をするならば、キュアロン&ルベツキの『トゥモロー・ワールド』は勿論のこと、SF映画の金字塔でありキューブリックの最高傑作(個人的に)である『2001年宇宙の旅』を見ておくといいかもしれない。
@シネマサンシャイン土浦 IMAX
@TOHOシネマズ船橋スクリーン4 TCX&ドルビーアトモス