ホットロード
★★
監督:三木孝浩 脚本:吉田智子 撮影:山田康介
7月17日の一般試写にて鑑賞。
つまらなかった。監督が三木孝浩、主演が能年玲奈ということで今年一番期待していた作品なだけにガッカリしてしまった。
何が気に入らなかったのか思い出してみると、全てが気に入らなかったという結論に辿り着いてしまう。良かった点もいくつかは存在している。
試写後に三木孝浩の過去作品を見直した。(『管制塔はあまりにもつまらないのでスルー』)
各作品の気になる演出
- 『ソラニン』→宮崎あおいのナレーションでスタート
- 『僕等がいた 前篇』→吉高由里子のナレーションでスタート
- 『僕等がいた 後篇』→生田斗真のナレーションでスタート
- 『陽だまりの彼女』→過去の映像のみでナレーションはなし
最新作の『ホットロード』は能年玲奈のナレーションでスタートする。予告編でも視聴できる「夜明けの蒼い道~」である。
三木孝浩といえば「コレ」と肯定的に見ることもできるが、逆に考えれば『ソラニン』の頃から何も変化していないとも。
『ソラニン』以外は原作既読なので”””ほぼ”””原作に忠実だということは理解できる。原作に忠実な演出をするのって映画としては非常にダサいことだなと感じてしまう。
『ホットロード』の場合、心の声の多用がどうして必要になったのかは原作自体が「宮市和希主観の物語」であるからだと推測。そう考えると違和感がない演出ではあるが、ダサいことには違いない。
今作において最も理解不能なのが、冒頭の「400four」の見せ方だ。映画の中で無理にでも話に入れ込もうとした結果、演出力不足のせいで足あとすら残すことなく事故によって存在が消える「400four」。無理に入れる必要はなかった。
各作品の主演陣
文句なしの主演陣。『ソラニン』では宮崎あおい、高良健吾。『僕等がいた』では吉高由里子、生田斗真。『陽だまりの彼女』では上野樹里、松本潤。そして『ホットロード』では能年玲奈と登坂広臣を招き、若者のニーズに合った役者を用意した上で、見に行きやすい青春映画(原作あり)を撮ってきている。
どの作品も脇を固める役者が魅力的なこともあって見ていて飽きない・・・はずだったのに、『ホットロード』に関しては「まだ終わらないの?」と思い始めてしまっていた。申し訳ないが、演技力の乏しさが目立っていた。
『ホットロード』鑑賞後の感想ツイート
「夜明けの蒼い道~」と能年玲奈の語りからのタイトルイン後、ズームバックで能年玲奈を見せていくところまでは面白かった。その見せ方に、「三木の最高作品を見れるんじゃないか」とさえ期待したが、即座に挿入される「湘南の海」にその気持は流されてしまった。「湘南の海」が何度も挿入されるが、それが非常に鬱陶しい。なぜここで海なんだ?と既に興醒めしていた気持ちがさらに加速する(波の動きは周りに流される若者を意識していたのか?)。
能年玲奈の初見せはズームダウンによって面白さがあったが、登坂広臣の初見せはダサさが極まっていた。今作はやたらと顔のアップが多いのも気になってしまった。
登坂広臣が族の頭だと主張するシーンがダサさのピーク。彼の演技力が乏しいことは仕方のないことではあが、それ以上に三木孝浩の演出力不足が目立ってしまっていた。
「演出力不足」は至る所で目立っている。
あえてこういった演出をする、新しいことは一切やらず、かつて誰かがやったことだけで映画を作り上げたのであれば、三木孝浩を応援していた自分がバカだったと思うばかりである。ほぼ忠実に原作をなぞらえた脚本には苦笑しかない。
監督三木孝浩、主演能年玲奈ということで今年最も期待していた作品ということもあり、擁護派に回ってべた褒めしたい気持ちでいっぱいではある。なのに、良かった点があまりにも少ないために、貶すことでしかこの作品を語れない。
好きな子に意地悪するのとはまた違う。
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主題歌は尾崎豊「OH MY LITTLE GIRL」
音楽については知識不足なので、「尾崎豊=すごい人」くらいにしか認識しておらず、今作の主題歌に決定した時も「ピッタリだね」としか思っていなかった。
今も「すごい人」という認識なのだが、『ホットロード』の中で一番良いのはこの主題歌だというのが素直な気持ち。
「OH MY LITTLE GIRL」のフルバージョンで三木孝浩監督の監修のもと製作された『ホットロード』の特別映像。
本編よりも素晴らしい。
記事の最初では作品評価を★★としたが、能年玲奈の魅力は満点である。
今後も応援していきたい。